最新情報相続財産管理人とは。費用はいくらかかるの?
相続財産管理人とは。費用はいくらかかるの?
被相続人が亡くなり、相続が発生したけれど、遺言書もなく、相続人の存在が分からない場合などに「相続財産管理人」を選任することを指します。裁判所によって任命されます。
相続財産を管理することが主な役割です。財産の調査や管理、清算などを行います。このため、家庭裁判所の許可があり、必要に応じて相続財産(不動産や株)を売却して金銭に換えることもあります。また、相続財産管理人は、相続財産に関連する税金や負債を支払うことにも責任があります。
清算後に残った財産については、特別縁故者からの請求があれば、全部又は一部を与えることができます。特別縁故者とは、たとえば内縁の妻であったり、事実上の養子などがこれにあたります。
特別縁故者などが現れなかった場合は、相続財産は国庫に帰属することになります。
相続財産管理人は、相続財産を適切に管理することが求められますので、信頼できる人を任命することが重要です。
相続財産管理人が必要になるケースとは?
法律上の相続人がいない場合や、相続人全員が相続を放棄した場合に、相続財産を管理する者を選定する必要が生じてきます。具体的なケースについて確認してみましょう。
CASE1.相続人がいないケース
法定相続人がいない場合や、遺言書によって指定された相続人がいない場合などを指します。そこで、家庭裁判所は、利害関係人等が請求することによって、被相続人の財産を管理したり負債の清算を行う「相続財産管理人」を選任することとなります。
法定相続人とは
第1順位
死亡した人の子供
その子供が既に死亡しているときは、その子供の直系卑属(子供や孫など)が相続人となります。子供も孫もいるときは、死亡した人により近い世代である子供の方を優先します。
第2順位
死亡した人の直系尊属(父母や祖父母など)
父母も祖父母もいるときは、死亡した人により近い世代である父母の方を優先します。
第2順位の人は、第1順位の人がいないとき相続人になります。
第3順位
死亡した人の兄弟姉妹
その兄弟姉妹が既に死亡しているときは、その人の子供が相続人となります。
第3順位の人は、第1順位の人も第2順位の人もいないとき相続人になります。
国税庁(相続人の範囲と法定相続分)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4132.htm
CASE2.債権者が返済を希望しているケース
相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄した場合、被相続人に「債権者」がいた場合、債権者は被相続人から返済してもらうことができません。このような場合に、「相続財産管理人」を申し立てるケースがあります。
CASE3.特別縁故者が相続をしたいケース
遺言書もなく、被相続人と親しい間柄にあり、法定相続人がいない場合に「相続財産管理人」を申し立てるケースがあります。
選任する方法の流れ
相続管理人を選任するまでは以下の通りです。
● 利害関係人か検察官による申し立て
● 必要書類の提出
● 家庭裁判所による審理・選任
です。
利害関係人か検察官による申し立て
申立をすることができるのは、特別縁故者、被相続人の債権者、特定遺贈を受けた者などの利害関係人及び検察官です。検察官が申し立てを行うケースは、相続財産に経済的な価値がある場合か、他の利害関係人からの申し立てがないような場合です。
必要書類の提出
申立人は被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に申立てをします。必要書類については後述します。管轄裁判所を調べる方はこちらから
家庭裁判所による審理・選任
「利害関係人」もしくは「検察官」から申立てがされ、家庭裁判所に受理されると、書面照会・参与員の聴き取り・審問などがされます。最も適した人が「相続財産管理人」として選任されます。
相続財産管理人の選任申立ての必要書類
上記に記述した「必要書類」について説明していきます。申立て時に提出できない戸籍については、追加で提出することも可能です。
① 相続財産管理人選任申立書
裁判所のホームページから書式と記載例をダウンロードすることができます。
裁判所(相続財産管理人の選任の申込書)
https://www.courts.go.jp/saiban/syosiki/syosiki_kazisinpan/syosiki_01_15/index.html
② 各戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本
● 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)
● 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)
● 被相続人の子及びその代襲者で死亡している方がいる場合:その子及びその代襲者の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)
● 被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)
● 被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合:その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)
● 代襲者としての甥・姪で死亡している方がいる場合:その甥・姪の死亡の記載がある戸籍謄本(除籍・改製原戸籍)
③ 被相続人の住民票の除票又は戸籍附票
被相続人の最後の住所地が分かる住民票の除票又は戸籍附票
④ 財産を証する資料
例えば不動産がある場合には、登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金及び有価証券がある場合には通帳写しや残高証明書等などです。
④ 利害関係を証する資料
利害関係人からの申立ての場合に必要です。戸籍謄本や金銭消費貸借契約書写しなどがあたります。
⑥ 相続財産管理人の候補者がいる場合にはその者の住民票
相続財産管理人の選任にかかる費用
必要となる費用は2種類です。「必須費用」と「予納金」です。
これに専門家に依頼するなら「専門家報酬」が必要になります。
「必須費用」は4種類です
● 戸籍謄本などの収集費用
● 申立てに貼る800円の収入印紙
● 予納郵券:連絡用の郵便切手数千円(裁判所によって異なるので直接裁判所にご確認ください。)
● 官報公告費用4,000円前後:裁判所の指示があってから納付します
「予納金」は亡くなった人の財産により異なります
イメージとしては、財産の管理に必要な金額(報酬+事務費)から被相続人の預貯金等(財産)を引いた額が予納金になります。予納金の額は20~100万円と広く、100万円以上もあれば0円のケースもあります。指定された予納金が支払えない場合は、最終的に「相続財産管理人」の申し立ては棄却されます。
専門家報酬
当司法書士事務所などに、依頼をした場合は上記の「必須費用」と「予納金」に合わせて「専門家報酬」が必要となります。依頼いただきましたら、必要な戸籍謄本等も収集(実費)させていただきますので、預貯金等が多い場合などは専門家にご相談してみるのもいいでしょう。
まとめ
相続財産管理人について解説いたしましたがいかがでしたでしょうか?
● 相続人がいない場合
● 相続人が居ても相続をする場合
● 債権者が返済を希望している場合
● 内縁の妻などが相続したい場合
など「相続財産管理人」を選任する必要が生じてきます。相続財産管理人の選任には申し立てが必要になり、相続人を探したり、様々な書類を準備するなど、煩雑な作業となりますので、専門家を頼ってみるのもいいでしょう。ぜひ一度ご相談ください。